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望遠鏡のコーティング(マルチコート)とは?

望遠鏡のコーティング(マルチコート)とは?

窓ガラスにも反射する光があるように、レンズにも反射する光があります。光がレンズ・プリズムなど光学素子に入射するとき表面と空気の界面で表面反射が発生します。この、反射による光の損失を防ぐのがコーティングです。

反射による光の損失は、望遠鏡にとっては大きな問題となります。その反射率はコートがない場合は約4%に達し、光学系の枚数が増えると全体の透過率は低下します。また反射した光はフレアやゴーストを発生させて光学系の性能を低下させます。

レンズに様々な化学物質の膜を作ることで、光の反射率を下げ、透過率を上げます。

コーティングには大きく分けて、以下の二種類があります。

従来の光学系へ施されてきた反射防止膜は、モノコート(単層コート シングルコート)

その名のとおりレンズ表面に屈折率の異なる物質を蒸着(コート)します。一般的にはフッ化マグネシウムが使用されます。

膜が一枚だけのシンプルなコーティング。ある特定の色の光の反射を防ぎます。コーティングがない状態と比べると、かなり像は明るくなります。

しかし、残念ながら他の色は反射してしまうので、マルチコートと比べるとやや不完全です。一般的なモノコートは紫色や青白色に反射します。

マルチコート(多層膜コート)

複数の膜により、複数の色の光の反射を防ぎます。一口にマルチコートと言っても、膜の数や種類の組み合わせによって像に与える影響は様々です。

一般的なマルチコートは3層で、緑色に反射します。高級なマルチコートになるほど、層は5層、7層と増えていき、反射色も様々に異なります。

これにより、より幅広い範囲で表面反射を抑制することが出来ます。その結果、フレア、ゴーストの無いすっきりとしたコントラストの高い、明るい視界が得られます。


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