はじめに
4月の夜空は春の星座が主役となる季節です。桜の名残りとともに、天文イベントも華やかに展開します。今月は「月面X」「最遠の満月/ピンクムーン」「こと座流星雨の極大」「水星が西方最大離角」など、科学的にも観測的にも価値の高い現象が目白押しです。初心者から上級者まで、春の澄んだ空気の中で宇宙のロマンを感じてみましょう。
天文カレンダー
(🌟:注目イベント / 青色:絶好の夜)
※下弦~新月の夜空はとても暗く、星も見やすいので絶好の夜と言われています。
日付 |
時間帯 |
イベント内容 |
4日(金) |
21時49分 |
清明(太陽黄経15度) |
5日(土) |
22時09分~🌓 |
🌟月面X現象(月のクレーター地形が「X」字状に光る) |
6日(日) |
15時21分 |
水星が留(赤経23.80h) |
10日(木) |
23時59分 |
金星が留(赤経23.54h) |
13日(日) |
日没~深夜09時22分 🌕 |
🌟最小満月(ピンクムーン/ 2025年で地球から最も遠くまたは最も小さく見える満月) |
17日(木) |
03時16分 |
土用の入り(太陽黄経27度) |
20日(日) |
04時56分 |
穀雨(太陽黄経30度) |
21日(月 ) |
10時36分🌗 |
下弦 |
22日(火) |
未明~明け方 |
🌟水星が西方最大離角 &🌟 こと座流星群 ・極大(見頃は22日深夜から23日未明。極大時刻は放射点が低い。1時間に10~15個程度。月の条件は比較的良い。) |
27日(日) |
深夜~明け方 |
金星が最大光度(マイナス4.8等) |
28日(月) |
夕方~宵🌑 |
新月 |
29日 |
夕方~宵 |
昭和の日 & 細い月とプレアデス星団が大接近 |
主要な天文現象
- 月面X -
日時:4月5日 22時09分~
月の地形が太陽光の角度によって「X」字状に浮かび上がる珍しい現象です。ラカイユ、プルバッハ、ビアンキヌスなどのクレーターの縁が光り、約1時間だけ「X」が輝きます。日本全国で観測可能ですが、現象発生時は月がまだ低い位置にあるため、東の地平線近くが開けた場所で観測しましょう。
観測のポイント
10cm以上の口径の天体望遠鏡(例:SV503 102ED)で詳細な地形を捉えられる
月面Xの出現位置はStellariumやStarWalkアプリで事前にシミュレーション可能
撮影には高感度カメラと赤道儀が有効。月の明るさに合わせて露出を調整しよう
月の明暗の境の地形に「X」の文字が浮かび上がる 撮影者:Taizo 様丨 出典:もっと宇宙の話をしよう!
- 最遠の満月(ピンクムーン) -
日時:4月13日
2025年で最も地球から遠ざかった満月で、視直径は通常より約13.7%小さく見えます。北米先住民の呼称では「ピンクムーン」とも呼ばれますが、春の花「フロックス」の咲く時期に因んだ名前です。実際に月がピンク色に見えるわけではありませんが、大気の影響で柔らかな色合いになることがあります。
観測のポイント
この時期の満月は、農作業の目安とされ「種まき月」とも呼ばれる
月面のクレーターや海の地形を観察するには、SV550 122mmAPO望遠鏡が最適
最小の満月と最大の満月の大きさの違い丨 出典:ケンコー
- 水星が西方最大離角 -
水星が西大距
日時:4月22日 日の出30分前~明け方
水星が太陽から最大27度離れ、明け方の東の低空で観測しやすくなります。高度は約10度と低いものの、透明度の高い空では肉眼でも確認可能です。
観測のポイント
金星(-4.0等)を目印に探すと発見しやすい
双眼鏡(例:SVBONY SA205)を使用すると安定して観測可能
- こと座流星群・極大 -
日時:4月22日 未明~明け方
こと座を放射点とする「4月こと座流星群」が極大を迎えます。ZHR(1時間あたりの最大流星数)は18と控えめですが、月明かりの影響がほぼなく、観測条件は良好ので、初心者でも1時間に10~15個程度の流星数を観測可能です!
観測のポイント
放射点は午後10時頃から東の空に昇り始め、明け方に最も高くなる
火流星が多く、長い痕を残す特徴あり
双眼鏡(例:SVBONY SV407)を使用すると安定して観測可能
豆知識
流星雨の母天体の謎
四月のこと座流星雨の母天体は、長らく「サッチャー彗星(C/1861 G1)」とされていましたが、近年の研究では小行星「2003 EH1」との関連も指摘されています。この小行星はかつて彗星として活動し、現在はガスを放出し尽くした「死んだ彗星」と考えられています。流星群の起源を探ることは、太陽系の進化を解き明かす手がかりにもなるのです。
まとめ
4月は昼夜の寒暖差が大きい季節ですが、透明度の高い空が天体観測に最適です。月面Xの神秘的な光や水星の淡い輝きは、デジタルカメラや画像処理技術を活用することで、より鮮明に記録できます。ぜひこの春、夜空を見上げて宇宙の営みを体感してみてください。
出典・参考
国立天文台「ほしぞら情報」https://www.nao.ac.jp/astro/sky/
国立天文台「暦計算室」https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/
アストロアーツ「星空ガイド」 https://www.astroarts.co.jp/
Star Walk「天文ニュース」https://starwalk.space/ja/news
ニコン「星空案内」https://www.nikon-image.com/enjoy/life/stars/
ケンコー「天文特集」https://www.kenko-tokina.co.jp/special/celestial/cat1174/
仙台市天文台「天文情報」https://www.sendai-astro.jp/observation/blog/osusume/
富山市科学博物館「天文情報」https://www.tsm.toyama.toyama.jp/astronomy
せんだい宇宙館「イベント情報」https://sendaiuchukan.jp/
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