SV503天体望遠鏡に関するブログを募集するイベントを開催しました。本日は今週で投稿されたブログで質が高いブログを掲載します。
さて沈む前ギリギリのM17から行ってみましょうか
M17 Gain300 8秒露出 32スタック QBP+UVIRフィルター ASI482MC
なんと、この時の鏡筒の角度はこんな感じ。
もう肉眼では真っ白でなにも見えないところを狙っています。この辺はQBPの威力ですね!
続いて、網状星雲へ
網状星雲 Gain300 8秒露出 47スタック QBP+UVIRフィルター
まだこっちはだいぶ高度があるのでかなり強調かけられました。
ここまではCMOSカメラはASI482MCですが、SV503 70EDの7㎝F6のレデューサーなしで1/1.2"センサーの周辺までピンポイントの星像が得られていましたので、もう少し広い4/3"センサーのASI294MCでは周辺像はどうなるか? で付け替え。
これで、やってみたところ最周辺はさすがにコマで流れたので、結局クローズアップレンズNo4によるレデューサー(×0.87)を入れて、合成F5.2、合成fl=365mmにしました。
網状星雲 Gain500 8秒露出 40スタック QBP+UVIRフィルター ASI294MC
はい、周辺像も良いようですし、やはり総合力ではASI294MCのほうがASI482MCより圧倒的に勝る、というここでも至極順当な結果(笑)。以降はこの組み合わせで行きます。
で、デュアル・ナローバンドフィルターのまま連続スペクトル天体である銀河にもチャレンジ!
M33 Gain500 16秒露出 30スタック QBP+UVIRフィルター
予想した通り、かなり苦しいですね。かなり帯域を限ることになるのでまあ、当然の結果と言えます。
それなら、フルバンド周波数使おうと言うことで、いきなりノーフィルター
M33 Gain500 8秒露出 30スタック ノーフィルター
かなり明るくなりましたが、星像がボテッとしましたね。これも予想通り、赤外域のピンボケによる「白ハロ」ですね(ほとんどのカラーCMOSカメラでは赤外成分は白く表現される)。
それならと、UV/IRカットフィルターで赤外の白ハロをカット。
M33 Gain500 8秒露出 30スタック UV/IRカットフィルター
微光星は小さく引き締まり、中ぐらいの明るさの星にはわずかに青ハロが取り巻く・・・やっぱりこれいいね。このままスタック枚数を増やし、もっと強調をかけて中央拡大・・・
M33 Gain500 8秒露出 88スタック UV/IRカットフィルター
これはあれですよね?
青にじみが美しい
こればかりは反射にはできない、これぞ宇宙! という配色ですね!
NGC253 Gain500 8秒露出 40スタック UV/IRカットフィルター
こういう星の少ない宙域だと青ハロはそれほど目立たないですね。隠し味? くらいか。
では散開星団なら?
二重星団 Gain500 8秒露出 23スタック UV/IRカットフィルター
おお、ゴージャス! これぞ青ハロの独壇場ですね! ・・・さすがにちょっとうるさいですか(笑)
さて、この豪華な青ハロとHⅡ領域の赤の取り合わせはかなり美しいんじゃないか? で・・・
くわがた星雲 Gain500 8秒露出 30スタック UV/IRカットフィルター
うーむ、配色が美しいことは美しいけど、肝心の赤い星雲があまり出ないな・・・でやっぱりQBPフィルター。
くわがた星雲 Gain500 8秒露出 70スタック QBPフィルター
画面がほぼ赤一色になってしまうし、くわがたもそんなに明瞭に出せなかったですね。階調もなくなっちゃったし。まあ、こういうのは高感度モノクロCMOSを導入した後のHa単色光電視観望に取っておきますか。
そのままカリフォルニアへ
カリフォルニア星雲 Gain500 8秒露出 75スタック QBPフィルター
こっちはもうちょっと楽で階調も少し出せました。
馬頭星雲 Gain500 8秒露出 50スタック QBPフィルター
馬頭が昇って来たばかりの東の空はすこし透明度が悪そうでした。
モンキーヘッド星雲 Gain500 8秒露出 140スタック QBPフィルター
これも何とか形がわかる程度。
まが玉も少し苦しいかな?
まが玉星雲 Gain500 8秒露出 60スタック QBPフィルター
ばら星雲 Gain500 8秒露出 56スタック QBPフィルター
この辺で雲が拡がってきて終了。締めのばら星雲となりました。
というわけで、SV503 70ED鏡筒にていろいろ電視観望で見てきましたが、フィルターワークに少し工夫が必要なものの割かし使いやすい印象です。
ただレデューサー使ってもFが5.2くらいなので、普段使っているF3クラスの反射と比べて暗く、HⅡ領域の出しにくさは少しありました。まあ、露出時間を30秒とか1分にすればこの点は解決するかとは思います(自分はどんなに長くても16秒、できれば4秒くらいに露出時間をおさえたいのでその目的には少し弱いですね)。
ただ、何より青ハロを逆手に取って画面を美しく彩ろうと思ったら、絶大な力を発揮しますね(笑)とにかくこの鏡筒は無理に青ハロを消そうとしてないのが潔いです。
かつて2枚玉のEDアポというと、一生懸命青ハロを消したはいいがその分球面収差にツケが回ってシャープに結像しないってパターンがあった(実際そういう鏡筒を所有していて手放しました)のですが、SV305 70EDでは眼視に重要な帯域の球面収差はキッチリ補正されてる感じがします。
と言うのも実はこの鏡筒、高倍率での惑星もなかなか良く見えるのです。
これはSVBONYの7~21mmズームレンズに2倍バローの120倍で木星や土星を見ている様子です。シーイングが良ければ木星の模様のうねりや土星のカッシニまで確認でき、7㎝の見え方としては文句のないものでした。短焦点なので、はっきり言って惑星には全く期待していなかっただけに、その見え味には新鮮な驚きがありました。
こういう言い方が正しいかどうかわからないけど、この鏡筒は
眼視用アクロマートの設計思想はそのまま、EDの力で少しずつ諸収差を少なくした状態?
なのではないかという印象を持ちました。言うなれば「スーパー・アクロマート」。
一般的な用途としては電視観望と眼視の両方に使える非常に応用範囲の広い望遠鏡になると思います。
(ちなみに自分個人の用途としては電視観望用と言うよりコンパクトな眼視チョイ見用望遠鏡、という位置づけになるかと)。
SV503シリーズは他にも80EDや102EDがあり、いずれも値段的にもEDアポとして最安クラスです。70EDと同じ設計思想のレンズが使われているのならば、すごく良いのではないかと思うのですが、さすがに使ったことがないので推測の域を出ません。80や102はどうなんでしょうね?